錦鯉日記 その49 昭和の変化

元気ですか~!
本日は少し面白い題材が有りましたので昭和の変化についてお話ししたいと思います。

昭和三色 44cm

この鯉に関しては昨年秋の池揚げ時、漆黒の真っ黒けで揚がって来た鯉でした。
立てる前の写真のイメージとは程遠く、池揚げ時では同一鯉とは全く判別がつかなかった鯉でした。
今月に入り急に墨が抜け、現在の姿となりました。

皆さんも経験が有るかもしれませんが、特に墨物は何故か2月に激変する鯉が多いのは事実です。
五色なども良い例で、秋揚げ時は紅白の様な鯉も年が明け2月頃に墨が急速に出始め黒五色になったという事例も星の数ほどあり、その系統の変化の傾向を熟知していれば紅白の様な五色も墨が出るまで待てるものです。

逆にそういう鯉程、仕上がった時は特級品になります。
昭和の話に戻りますが、販売ページのコメント欄にも書いておりましたが、この鯉はリスクの高い鯉でした。
特に紅がです。
立てる前の緋質には、少し硬さが有り、明るい紅は持っているものの緋飛びの心配が有る鯉でした。
現在においては紅質には練りが有りかつ柔らか味が出ました、今後は緋飛びの心配もないでしょう。

幼少期の昭和の傾向として、手ヒレに墨を持たない鯉は墨模様は大きく変わらない傾向が有ります。
墨の濃淡に違いが出ても墨模様としては極端に変わらない傾向が有るのです。

もうワンランク上の話をすると、この鯉は手ヒレに元黒が出て来ました。
逆に元黒が出たという事は、将来的に墨模様が変わる可能性も出て来たと言えるのです。

変化の結果に好き嫌いはあると思いますが、素直に鯉だけを見た場合、さらに将来性が出た鯉と言えると思います。

三色化が進む現代の昭和の中にあって、垢抜けした昭和も多くなっておりますが、この様な豪快な墨を持つ鯉も少なくなって来ております。

三色化した昭和という意味は豪快な墨が乗らなくなった、特に体前半部に大きな墨が乗らなくなっているという事です。
色んな鯉の写真などを見て下さい。
綺麗に見える昭和程、この意味が見て取れると思います。

墨物はやはり墨が命です。
こういう豪快な墨模様が出る血筋を大切に生産を進めて行きたいと思っております。

この鯉はお客様の鯉で、購入時、野池飼育依頼が有りお預かりした鯉でした。
秋揚げ時はこの鯉の判別がつかず、お客様には緋飛びした可能性がありますとお伝えしておりましたが、2月に入り漆黒の鯉が墨が抜け、遅まきながらお客様の鯉だと判別出来た鯉でした。

野池飼育時も死んだ鯉はおらず、数通りの揚がりで、お客様の鯉がいないのが不思議で、おかしいなとずっと気にしていたのです。
一時はお客様に諦めて頂いた鯉でしたが、何はともあれ遅くはなりましたが、良い結果報告が出来てホッとしております。

弊社の販売する昭和は墨質が強い分、変化も激しいです。
変化するから楽しめる、綺麗な鯉になる様な改良も大切ですが、守らなければならないものもあるのです。

こんな昭和を作り続けたいものです。

ではまた次回へ。