錦鯉日記 その54 良い体形とは?

元気ですか~!

新潟の十日町はこの処の寒の戻りで、せっかく積雪が少なくなっていたのに又、積もってしまいました。
今年は1日でも早く山の野池準備を始めたいのですが。。。

さて、今日は日頃から体形にこだわった出品鯉を多数ご紹介しておりますが、一口に体形が良いと言っても色んな見方が有るのです。
本日出品した良型の立て鯉孔雀を2本例に挙げ、説明できればと思います。

錦鯉 販売 通販 ネット販売 野池立て企画4 孔雀 37cm BN2-031錦鯉 販売 通販 ネット販売 新春特価 立て鯉 孔雀 40cm BN2-032最初の鯉はBN2-031 37cm。

2番目はBN2-032 40cm。

二本共に同腹の姉妹鯉です。
両方とも体形は◎の鯉と言えます。

弊社が販売している孔雀の立て鯉は二本目の鯉が主となっており1番目の鯉の様に魚雷型の鯉はあまり多くはありません。

この系統からは中々でないタイプの体形と言って良いと思います。
成長過程では、明らかに二番目の鯉の方が早く身幅も付きながら大きくなって行くタイプで、魚雷型の方は勿論太身も付いて来ますが、体高が有る太さになって成長していく為、上見で見た場合は、かなり大きなサイズにならないと本当の迫力が出にくい鯉なのかもしれません。
横見の写真を見ると2番目の鯉の方がお腹にふっくら感が有るのが分かりますか?

1番目の鯉の方が腹底のラインが尾筒の根元まで段差がなく、よりスムーズな形をしております。

お客様の中でも体形の良い鯉を選んで購入しているとおっしゃる方は多くおられますが、体形選別初心者の方が多く失敗する例は、ムチムチマッチョな鯉を購入される時です。
特にジャンボ当歳ですね。

大きくなるかどうかだけを考えると、骨格は意外に関係なく極端ですがお腹のゆるい全体的に柔らか味のある鯉の方が意外に大きくなります。

大きくなって行く過程で腹ポチャにならない、体形が歪みにくいなどを考えると骨格の良い鯉というのが大切になるわけです。
2番目の様なお腹のラインを持つ鯉で骨格の悪い鯉は、将来的に腹ポチャになったり、歪みやすくなったりします。

小さい時から筋肉質になってしまう鯉は肉質も硬く、見た目は、さも大きくなりそうな作りをしていますが、立てると意外に伸びないものです。
小さい時からムチムチでがっしりした鯉で、しかも伸びる鯉は肉質には見た目と違う柔らか味が有る筈です。
ですから、ざっくり体形の良い鯉とは?に興味を持たれている方は、機会が有れば鯉に触ってほしいと言っているのです。

昔の生産者は特に立て鯉の体を表現する時に「余裕がある」と言いますが、この余裕とはまさしく柔らか味の事だと思います。
頭が大きい、目幅が有る、尾筒が太いなどは体型良く大きくなる鯉を選別する際にはオプションみたいなもので、それを主軸に選別してしまうと間違いが増えてしまいます。

032の方は私共が見慣れた安定して大型になるタイプで安心して見ていられます。
お腹の膨らみは、まさしく余裕の表れです。
031の方は池から揚げた時に、おっと思ったのは魚雷型の綺麗な体のラインを持ち、かつ肉質にも柔らか味を感じたからなのです。

魚雷型の鯉は特に見た目はカッコ良いのですが、肉質が硬く伸びが悪い鯉が多いのも事実なのです。
伸びるかどうかだけを考えると、他に皮膚、皮の質感なども有りますが、これを説明しだすとあまりにも感覚的な言葉が多過ぎて理解し辛いものとなってしまいます。
只、このタイプの体形を持つ鯉は総じて腰の強い鯉が多く、大型になった時の泳ぎの綺麗さは別格です。

体形を維持して成長させるには餌の種類も大切になりますが、今回は餌については触れないでおきます。

錦鯉って、体形一つとっても話は尽きないぐらい奥が深いものです。
専門書などには載っていない、ほとんどが経験から得た感覚的なものになります。
それも何かに疑問や興味を持って初めて理解したいと思う事で、20年間錦鯉を生産していたとしても、何かに興味を持たないままに仕事を続けると単に同じ時間を繰り返して行くだけになってしまいます。

何かを知りたい、何かを解明したいと興味を持ち課題に取り組む事で毎年何らかの積み重ねが有ると思うのです。
錦鯉だけに関わらず、日々の仕事の中で何かに興味を持つことは大切だと思います。

私の信条は知ったかぶりをしないという事です。
日頃皆さんに行っているアドバイスは経験から得た知識が元になっており、まだ経験が無い事も沢山あると思います。
経験の長さは関係なく、人それぞれの感覚が有り自分より下の者にでも疑問が有れば聞きます。
そういう部分で年長者としてのプライドなどは一切ありません。

話はそれてしまいましたが、上記でお話しした体型については、ほんの一例で、系統によって成長過程で変化して行く体形の癖なども有り、そこまでの知識となると一般の方ではどうしようもない選別眼になってしまいます。

人より多くの経験が有るからといって、私のジャッジが全て正解かと言えばそうではなく、より確率が高いという程度でしょう。
立て鯉企画などの結果報告でダメになってしまった鯉も合わせて報告するのは自分への戒めでもあります。
お客様にも素直にごめんなさいといえますしね。

今回例に挙げた2本の鯉は並べて見ると見た目の印象に大きな違いが有りますが、二本共に良型と言える鯉です。
大きくなった時は二本共、良い体形の鯉ですねと言われると思いますが、同じ好い体形でも色んな形が有るのです。

良い体形の鯉でも完成形の形が違う、そんな二本の鯉の幼い時分の見え方の違いをご紹介しました。
少しは参考になりましたでしょうか?

では、また次回に。