錦鯉日記 その50 紅白、稚魚の変化の過程。

元気ですか~!

寒暖差の激しい昨今ですが、確実に春の訪れを感じている今日この頃です。
本日出品した、もうじき丹頂紅白について少しお話したいと思います。

錦鯉 販売 通販 ネット販売 もうじき丹頂紅白 15cm B2-018この商品ですが、説明文に書いてある通り体のピンク地は出て来る色素ではなく消えて行くものです。

私達の間では、この状態の事を「緋が動いている」と表現します。
幼魚の時期はご覧の鯉の様に緋模様が確定する最中の鯉も多く見かけます。

只この鯉の場合、消えて行っている緋模様の模様はよく見ると4段模様ですよね。
全ての緋模様が確定していた場合、丸天五段模様の鯉になっていたはずです。

普通、ピンク地が残っている場合は単純柄で体の一部という場合がほとんどなのですが、この鯉の様に体全体の良い緋模様が全体的に沈んで行っている鯉はなかなか見かける事が出来ません。

ましてや、体の紅より飛びやすい頭の丸天だけが変化の過程で残るという様な都合の良い?鯉は本当に稀だと思います。

野池での稚魚選別時も第一選別、第2選別とその時々に特徴のある模様の鯉は出来る限りその場で覚える様にしております。
次回の選別時に、それら覚えている鯉達が同様の模様として残っているのか?それとも変化しているのか?をチェックしその腹の傾向、野池の傾向を読む為なのです。

皆さんはご存知ないかもしれませんが、同じ親から出た毛仔(卵から孵化して2,3日位の稚魚)でも育てる野池の環境が変わると結果は大きく変わります。

水質、土質、池の水の色、細かく書くとかなりの長文になってしまいますが。。。
特に型付(緋模様の付き方)に特化して言うと稚魚池の水の色によって大きく変わります。
秘密にするような事でもないので言いますが、グリーンウォーターに飼育水をしてしまうと模様の付き方が格段に悪くなります。
模様が確立されている鯉を飼育している際は、水中の藻類を殺菌灯などで殺さず、グリーンウォーターにする事で色揚げを与えずとも赤色はある程度揚がりますよね。

しかし、稚魚の模様が確立されて行く過程をグリーンウォーターで飼育すると緋が増えすぎてしまい結果として型付きが悪くなってしまうのです。
太陽光も重要で、野池の水色を泥濁りさせてしまうのは問題外です。
この泥濁り色の水色は2歳以上の鯉を立てている最中も最もしてはいけない水色で稚魚~大魚、年齢を問わず悪影響が出ます。

夏の大雨で川が氾濫し、泥水が立て池に入ったり、土砂が野池に入って池の水色が泥濁りし、その状態が1か月近くも続くと、その池の結果は散々なものとなります。

弊社の野池は大雨が降っても大丈夫な立地に有りますので、その心配はありませんが。
野池の土質により、鯉自身が池の泥を突いた時に出る泥濁りが直ぐに収まらない様な土質も有ります。
そういう場合は土質改良からしなくてはならず、そんな土質と知らずに野池を作ってしまうと悲惨です。

丹頂紅白の稀な模様の確立過程の説明から話は広がってしまいましたが、鯉の生産に関しては長い経験が有ったとしても新しい経験を積める機会は1年に1回です。
緋模様が形成されて行く過程も、一律ではなく同じ品種でも系統が変われば違った変化の過程を辿ります。

同じ親鯉を毎年使用したとしても、毎年同じ結果を得る為には人為的なコントロールも必要です。
新しい親で仔採りをすると、その系統の傾向は熟知していても、その良い傾向がきちんと反映される様に環境を整える事も必要です。
鯉の生産は毎日、地味な作業の連続です。

愛好家の皆さんの中にはご自身で仔採りに挑戦されている方、これからしたい方もおられると思います。
たまたま良いものが出来たというのではなく、良いものが出来る確率を上げる為には?とお考えの方は少し参考にしてみて下さい。

人って失敗した時は原因を探ろうとしますが、成功した時は意外となぜ成功したかの検証をしない方が多いのも事実です。
良い結果を長く続けていく為には成功した時の何故?をきちんと把握するのが大切だと思っています。

これからのブログでは、今回の様に少し掘り下げてお話ししたいような事も取り上げてみたいと思います。
その内、横見の水槽飼育、庭池等の透明水での飼育法などに関してもお話しできればと思います。

販売ページのお問い合わせの欄でブログで取り上げてほしい事などが有りましたら、どしどし送って下さい。
お待ちしております。

ではまた次回へ。