錦鯉日記 その48 近代昭和について

元気ですか~!

私は風邪をひきそうになりながらも何とか気持ちでしのいでおります。
今年の冬も新潟は異常です。

私共の越冬ハウス、養殖池のある地域は十日町で新潟でも有数の豪雪地帯です。
昨シーズンの冬も雪が少なかったのですが、今冬はそれ以上に雪が少ないのです。

冬場の仕事として、ハウス周り、倉庫事務所の除雪が日課になるのが普通ですが、今年に関しては日課とは呼べないぐらいの除雪頻度です。
平場(町場)に有る田などは土が見えており、2月の風景としてはありえない状態です。
冬場の仕事として除雪に取られる時間が少なくなるのは良い事ばかりなのですが。。。

とは言え、1晩雪が降ると、とんでもなく積もるのですが。

さて今回は近代昭和について、お話ししてみたいと思います。

錦鯉 販売 通販 ネット販売 近代昭和 33cm BN8-030

錦鯉 販売 通販 ネット販売 緋昭和 40cm弱 BN8-031

対照的な2本の昭和をご覧下さい。
皆さんも、たまに耳にする近代昭和の定義とは何か?
白地、墨、紅がおおよそ均等な面積を持つ昭和の事です。
墨は基本、白地メインに出ている又は出るだろう傾向を持った鯉でなければなりません。

模様の完成形を想定した場合、完成前は紅の面積が少なく、白地を多く見せた鯉でなければなりません。
昭和の中でも近代昭和と呼ばれる昭和は特に人気が有ります。
しかし、生産者としても分かってはいるのですが市場にあまり出ないのは、紅が少ないという点が問題になっているのです。

緋模様が大模様の鯉に比べると近代昭和と呼ばれる鯉は紅が小模様です。
昭和に限らず紅が小模様の鯉は緋が飛びやすいという傾向が有るのは皆さんもご存知ですよね。

特に大型系統の鯉は2歳立て時、10~20cmドンっと伸びます。
ある程度強い緋質を持った鯉でも、短期間でドカッと伸びた時は緋が飛びやすいものです。

ご覧の近代昭和も野池揚がり時は、緋際が緩んでおりました。
そのまま緋が飛んでしまうのか、又は逆に水温が下がって緋が強くなるのかの判断に困り、今になっての出品となりました。

話は戻りますが、昭和を多く生産している生産者でも、当歳から2歳立てをする鯉の選別をする際は緋模様の良し悪しで選ぶ生産者が多いのも事実です。

しかし、その選別では近代昭和と呼べるようになる鯉は残りません。
何故なら当歳時に墨があまり出ていない昭和の場合、緋模様だけを見ればクズ鯉に見えるからです。
簡単に言うと、墨が白地メインに出て来る系統の鯉の場合、紅は少ない方が良いのですから。

もっと言えば、紅が少ない鯉でなければ完成形の3色のバランスが保てないのです。
御三家の中でも昭和は名前通り、一番歴史が浅い鯉です。
昭和が品種として確立された頃の昭和は緋色は柿色で、墨もボケた様な鯉が多く、対比で載せている緋昭和の様な感じでもっと質の悪い鯉がほとんどでした。

対比として今回掲載した緋昭和は同腹の鯉で、同じ親から出てきた鯉でもここまでタイプが違う鯉が出るのです。
緋昭和と言えどレベルの高い鯉で、昔の緋昭和と比べ、紅、墨質共に現代の質の良いものに進化しております。

上記の事から近代昭和の希少性が少しはお分かりになって頂けたでしょうか?
近代昭和とは無い物ねだりの中で狙い、ほんのわずかな鯉だけに与えられる名前なのです。

私共としても選別時に分かっていながら立てたとしても、残る鯉はほんの僅かで、やはり紅がダメになる鯉が多数です。
そんな中、勝ち残った近代昭和と呼べる鯉は、先に大きな楽しみが有りますよね。
この鯉も緋は小模様ですが、既に安全圏に入ったと言っても良いと思います。

墨としては出にくい前半部分に大きな墨模様が出ておりますので、後半の墨は間違いなく出るでしょう。
成長と共に変化を追って行く鯉としては最高の素材です。

近代昭和は白地が多くなくてはならない。
小模様の鯉は大きくする際に緋模様が飛びやすい。
極端に簡単に言うと近代昭和って、この2点をクリアーした希少な鯉なのです。

勿論、この条件プラス体形、各色の質、特に白地が良くないといけない等を考えると尚、少なくなるのはお分かりですよね。

こういう鯉との出会いも稀です。
楽しんで頂けると幸いです。

ではまた次回へ。