錦鯉日記 その47 餌止めの時期について。

元気ですか~!

8月以来のブログの更新となりました。
申し訳ナス。

今夏は本当に水不足で、いまだかつて経験が無いぐらいの夏でした。
稚魚池も干上がった池もあり、干上がらずとも餌を与えられる環境にない為、通常の年に比べると成長が悪い池が多いです。

現在は、いつもの秋の新潟の天候に戻り、雨が多い憂鬱な日が続いております。

この時期にきて、皆さんから餌止めの時期についてのお問い合わせが増えており、個別対応も頻繁になって来ておりますので、今回はその事についてお話ししようと思います。

今秋は通常とは違い夏の猛暑から一転、急に気温が下がり一気に肌寒くなってしまいました。
ヒーターなどで温度管理をしているお客様にとっては問題ないと思いますが、常温飼育されているお客様の愛鯉はびっくりしていると思います。

私共のハウスでも1週間で水温が5度以上下がり、現在は19度位です。
徐々に下がった19度の水温は餌をガンガン食べる水温ですが、あまりにも急激に水温が下がってしまった為、鯉の餌食いの状態が、明らかに普通の状況とは違います。

皆さんの処でも、水温に違いはあれど同じような状況だと思います。
餌を与える際は、今年の場合は水温だけを参考にせず、鯉の動き、餌を欲しているか?をよく観察して餌の量を調整して下さい。
急激に水温が下がっている場合は、水温が何度あるかで餌の量を決めず、鯉の状態を観察して下さい。
急に水温が下がった環境に鯉が慣れるまで、餌の量を少なくしても良いと思います。

今秋に関しては越冬前の餌やりのピーク時期が極端に短かったように感じます。
本来であれば9月中旬から10月頭は、鯉はいくら餌を与えても食べるという時期ですが、今年の場合は9月後半から急に気温が下がってしまいました。

しかし、例えばですが、春先の水温16度と秋の水温16度は全く違います。
越冬後で数か月餌止めをしていた鯉と代謝が活発で沢山餌を食べていた鯉との違いです。
春先で水温が16度あっても冬眠明けの鯉にとっては体がまだ完全に目覚めておらず、餌を与える事にリスクはありますが、
これから越冬準備に入る鯉に対しては、餌を与えてもさほどリスクはありません。

勿論、通常の育成用の餌は魚粉がメインに構成されており、たんぱく質が39%前後です。
安全に消化、分解、吸収するには水温が18度は必要とされております。

今の時期、水温が18度を下回っても鯉は餌を欲しがります。
日中の一番水温が上がっている時に通常の育成用の餌を与えるのは問題ありません。
朝、晩、水温が18度以下になっている場合は、その時間帯を避けて餌を与えて下さい。
当然、餌の量も控え気味に。

通常のタンパクの育成用の餌を与える場合は、夕方、水温が下がって行く時間帯の2時間前が最終の餌やり時間です。

乳酸菌を添加されている方は、かなりの割合でリスクが回避できると思います。
万能ではありませんが、季節の変わり目、環境の変化時にも対応する事が多数の実験で確認されております。

多くの愛好家の方は日中は仕事に出ている為、昼間に餌を与える事が不可能な方も多いと思います。
そんな方に対しては、胚芽がメインになった低水温用の餌を与えるのも良いでしょう。

基本的に、水温が13度以下になれば越冬に突入させる方が良いので使用できる期間は短いものです。
弊社では取り扱っておりませんが、ホームセンターのペットコーナーでもネットでも簡単に手に入ります。
動物性の原料が少ない為、酸化もしにくく来春も使用できます。
心配な方は、この餌にも乳酸菌を添加して与えて下さい。

*今回の話で、一番お伝えしたいのは、一度餌を止めたら来春迄、一切餌を与えない事です。
仕事が休みで天気が良い時、鯉を鑑賞していると鯉は餌を欲しがったりします。
しかし、そこはグッと我慢して餌は与えないで下さい。
痩せてもです!!

鯉は低水温時に不定期に餌を与える事が一番悪いのです。
錦鯉は基本的に四季を通じて鑑賞する生き物です。
夏場に餌をたっぷり与え、質は緩みますが餌を切った後に夏場の成長の成果が表れだし、色目が綺麗になって行きます。

厳しい冬を乗り切るからこそ、夏場に懸命に命を燃やすのが錦鯉です。
冬場に痩せたとしても餌を与えていない鯉の方が夏場に爆発的に大きく成長します。
その繰り返しで、鯉は年々綺麗に成長して行く生き物です。

家の中で水槽飼育をされている方は、冬場でも家内の暖房の影響で、そこまで水温が下がる事は無いと思います。
その場合も水温13度を目安に、比較的安定した水温を保てる場合は低水温用の餌を与えて下さい。

説明文を書きながら、錦鯉の飼育って本当に餌の与え方が重要なんだと再認識します。
比較的、単純な構造の生き物だけに飼育者のさじ加減が鯉の健康状態に直結するのです。

定期的にというワードが重要で、不定期が一番鯉の状態を崩す原因になります。
同じ環境の飼育の様に見えてもお客様それぞれ微妙に違うはずです。
お住まいの地域によっても環境は違います。

いつも言いますが、ご自身の飼育パターンを確立するべきです。
お隣さんが同じように鯉を飼育されていたとしても、あなたとは違うはずです。
私共は、通り一辺倒のアドバイスをする訳ではなく、各お客様の飼育状況に合わせた方法を一緒に考えます。

私共にとってもお客様を通じて新たな発見も有るのです。
お問い合わせに対処する事は私共にとって面倒な事ではないのですよ。

お気兼ねなく、このブログの説明で不足の部分などが有ればドシドシお尋ね下さい。

本などからしか飼育方法の情報を得られない方は、間違った知識を持っておられる方が多い様に思います。
プロの飼育法を一般の愛好家様に全てあてはまるかと言えば、それも違う様な気がします。

私共のアドバイスが完璧だとは言えませんが、常に死なせてしまうリスクが無い様にと考えながらお伝えしております。

錦鯉は安価な物でも他から比べれば高級です。
飼育者次第で先が変わる観賞魚です。

私共は知識の出し惜しみをする事はありません。
しかし、それは向上心のある方が知りたいと素直に思う気持ちが大事な事で、これ以上知りたいと思う方はお客様の方からお尋ね下さい。

探求心のある方に対しては、個別にご対応させて頂きます。

では、これから野池から揚げた野趣あふれる鯉も出品してまいりますのでお楽しみに!