錦鯉日記 その8 丹頂について考える。

元気ですかー!

新潟は降る降る詐欺です。雪は全然~ん大した事は有りません。
私の言う新潟とは長岡の事でして、新潟市の事ではありません。新潟市は以前も書きましたが雪はあまり積もりません。
私が新潟に移住した頃から比べても確実に雪の量は減っております。

今年に関しては曇り空ばかりの冬のはずが日が照る日が意外に多く、やはり地球温暖化は進んでいるのかなと感じてしまいます。
ドカ雪の年も有りますが、それは雪の日が集中して続き結果として積雪が伸びたというだけで降雪量はどうでしょうか?
冬季として雪が降る日は確実に減って来ており、真冬でも雨の時間帯が多くなった気がします。

長岡に住んでからの体験としては海側から山古志方面に抜ける明確な気流が有り、雨降りの境目、雪の境目をハッキリと体感目視出来る事です。
新潟県下では十日町でも夏場などはよく目視出来ます。
まるで漫画の様です。一歩そちらに踏み出せば夕立のドシャ降り、でもこちらの道路はカラッから。

またまた、年のせいか話が長くなってしまいました。
本題ですが、今回は丹頂についてのお話にしましょう。

これぞ丹頂です。

皆さん、丹頂ってどういう鯉だと思いますか?少し難しい言い方をすると生物学的にです。
ごく簡単に言いますが、丹頂とは究極の改良品種です。
原種から考えると、その正反対、末端にいる品種です。緋模様の改良はこれ以上ありません。

 

 

 

 

 

 

 

浅黄のお手本の様な鯉です。原種に近い浅黄を参考にしてみましょう。
浅黄は近代の錦鯉の派生の元になっている鯉でもあります。
特に昭和には現代でも浅黄の特徴が色濃く出た鯉を見かけますね。

紅白においては改良が進み体型が弱くなった系統などは浅黄と交配させるという事もしています。

一昔、と言っても25年もさかのぼればよいでしょうか。
その時代は、生産者が一丸となって紅白の改良を進めている時期でした。
その時分、段模様などはほぼ出現せず、尾止めは切っていないどころかヒレには紅が走り大柄の模様以外は大きくすると模様が飛んでしまうというのが共通した認識でした。

皆さん、今となっては想像もつかないかもしれませんが模様に限って言えば、鼻付は当たり前、丸天なんて希少な模様だったのですよ。

この事を踏まえ、模様について考えてみると現代に至るまでの改良の過程としては、まずヒレに紅が入らなくなり、尾止めを切った模様の鯉の率が上がり、それと同時に鼻先に白地を持つ鯉の率も上がって来ました。
体の側線より上の部分での模様の形成が主になり大柄から緋模様が分断されるようになって来ました。

この様に改良が進んで行くと、至る所は模様がどんどん前のめりになって行くという事です。
前のめりとは、模様が体の前半に寄って行くという事です。
その究極が丹頂なのです。
墨は逆に後半に寄って行きます。墨に関しては又いずれ、お話ししますのでお楽しみに。

人の手によって改良が進むと当然、生態としての強さが失われて来ます。
丹頂が普通の鯉に比べ、80cm以上にまで成長する率が低いのも、ドッカーンとした体形の鯉が少ないのも仕方のない事です。

皆さん、今回は丹頂を例にとってお伝えしましたが鯉を選ぶ際に品評会に興味が無ければ、ヒレに紅が有る、尾止めを切っていない、目に紅が少し有るというのは紅が飛びにくい緋質の強い鯉であるという見極めになります。
だってそれらは浅黄の名残であり、現代においても浅黄の成長過程の特徴として紅が少しでも有れば年々紅は増えていき飛んでしまう事はほぼありません。
基本の浅黄は各ヒレに紅が有り、腹、頬にも写真の様に紅を持っています。
現代の鯉に照らし合わせて想像すると、私の言っている”名残”の意味が見えてくるはずです。

普通に鯉を飼育していると丹頂だけ成長が遅れるというのは多々ある事です。
そういう場合、その丹頂が大切ならば一まわり小さな鯉群の中に入れてやり、丹頂が群れの中で優位に立てる様にしてあげましょう。

丹頂とは繊細な品種です。この鯉をうまく飼育出来ればあなたの飼育技術、感覚も一段と上がるはずです。
錦鯉日記を読んで頂くと私が販売鯉の説明で何が言いたいのか理解しやすくなると思います。

さあ、皆さん鯉飼育、楽しみましょう!
難しい部分もあるから楽しいのです。簡単な事には直ぐに興味が無くなるでしょう?違いますか?

私が錦鯉の沼から抜け出せない様に皆さんも沼にどっぷりはめて差し上げます。
錦鯉って深いよぉ~。

*錦鯉業界用語
これから初心者の方にも錦鯉を表現する際に使う業界用語などを説明したいと思います。

(尾止めを切る) 体と尾ひれの間に白地が有る事。

(紅が走る) 各ヒレのいずれかにでも紅が入っている事。

(模様が飛ぶ) 緋模様などが成長と共に消えてしまう事。

(丸天) 模様の名称。 丹頂との区別は丹頂は頭部にしか紅が有りませんが、丸天は体にも模様が有ります。

(鼻つき) 模様の名称。 口先まで模様がある事。主に紅。